マキイマサルファインアーツ企画展よォーこそ!Vol.4
オアハカ マヒカ-紙と土のちから- キュレーター オマール・ファビアン、内田あぐり
2009年10月16日(金)〜10月28日(水)


オアハカ マヒカ -紙と土のちから-



メキシコと日本の交流400周年にあたる今年、マキイマサルファインアーツでは、「オアハカ マヒカ-紙と土のちから-」と題した展覧会を開催します。 武蔵野美術大学日本画学科教授である内田あぐり氏がこの春、オアハカのサンアグスティンアートセンターで「土の力」というワークショップを開催、その時の交流から、オアハカのアーティストたちによる作品を展示する機会が実現しました。ご高覧ください。



協力 サンアグスティンアートセンター、武蔵野美術大学
後援 メキシコ大使館



     
 オアハカは独特の雰囲気を持つ州です。見あげる空はどこまでも青く、州都は山々に囲まれて緑にあふれています。そして、州都から寒気の強い山岳地帯を分け入ると、その奥には草木の絶えた土地が広がっています。また、オアハカには多様な先住民が暮らしています。伝統的な料理、民族衣装、音楽など、かれらの住む村々の文化はそれぞれに大きく異なり、オアハカのアーティストたちはこのような多様な文化に感性を刺激されながら活動をしています。内田あぐり先生もそうしたオアハカの魅力を発見された一人です。土から絵の具を作り、それを使って絵画を制作するという日本画の技法によるワークショップ『オアハカの土のちから』を開催するため、2009 年3 月、サン・アグスティン・アートセンターに二度目の来訪をされました。ワークショップに参加したアーティストたちは、自宅周辺やアートセンター周辺の土を採取し、山に覆われた地形と変化に富んだ気候がもたらす様々な色の絵の具を作りました。さらに試行錯誤しながら作ったその絵の具で、参加者それぞれが自分の作品を描き上げたのです。メキシコと日本の充実したコミュニケーションが実現し、広く豊富な日本の知識を得ることのできた素晴らしい講座となりました。
 内田先生の熱意により、ワークショップの成果を日本での展覧会としてお見せすることができるようになりました。この伝統的で、さらに環境に優しい絵画の手法が、オアハカの人々にぴったり合うことを作品が示してくれることと思います。これからも、両国の交流が素晴らしい成果を上げつづけることを願います。日本とオアハカがはるかに遠く離れていても、私たちはお互いに理解しあえることでしょう。このような機会をいただき感謝いたします。


                                        オマール・ファビアン
                        キュレーター、サンアグスティンアートセンター コーディネーター







アドリアン ゴメス

1950年 オアハカ生まれ、オアハカ在住
メキシコシティ国立工芸学校卒
染織家、織物作家


コチニール、藍、木の皮や苔などからとれる天然染料で糸を染め、その天然色の優しい色合いで不思議な動物や人物などを織り込んだ独創的なタペストリーを制作。自作の天然絵の具を使ったドローイングも描き、子供から大人まで楽しめる織物教室も開催。




アルフォンソ バレラ ムニス

1974年 メキシコシティ生まれ、オアハカ在住
サンカルロス美術大学卒
アーチスト


主な技法はミクストメディア。好んで使う画材は水彩、油絵、ガッシュ、アクリル、ピグメント、木炭、あぶら鉛筆、パステル、コチニーヤ、土。版画では木版、銅版、石版で制作。2009 年9 月現在、カリフォルニアのアーチストレジデンスに滞在中。




アナ ラウラ トーレス ヴィヤ ブスタマンテ

1977年 オアハカ生まれ、メキシコシティ在住
グアダラハラ州立大学卒
インテリアデザイナー、画家


キャンバスにアクリルを用い、植物の繊維や金箔、新聞、和紙などを貼ってテクスチャーを出し、点描で絵を制作。フリーのインテリアデザイナーとしても活躍。




アレリ グティエレス グスマン リヴァス

1983年 オアハカ生まれ、オアハカ在住
ブエナスアイレス国立宝飾学校卒
あやつり人形、銀アクセサリー、陶芸作家


アクセサリー講座を開講する傍ら、子供対象の美術ワークショップを開催。子供たちと土から絵の具を作り、大きなトランプを作って遊ぶというワークショップを開講。




クラウディア カルラ テハダ モラレス

1970年 オアハカ生まれ、オアハカ在住
ルフィーノ・タマヨ美術教室で絵画を学ぶ
アーチスト


油絵、砂絵(大理石の粉で作ったピグメントに油絵を合わせてキャンバスに描く)、みつろう画。テーマを自然の中から見つけることが多く、蝶のシリーズを制作。




ホセ アルベルト カンセコ エスピノ

1981年 オアハカ生まれ、オアハカ在住
オアハカ州立自治ベニトフアレス大学芸術学校美術学部在籍
アーチスト、写真家


テーマは人体、ヌードとエロス。現在写真で作品を制作することに興味があり、写真の中で絵を描いたり、現像した写真に傷をつけて効果を出したり、模様を書き込んだり、切り抜いたりして作品に仕上げている。街角をキャ
ンバスに(?)ステンシルでも活躍。



ルシア デ アランフエス メイフエイロ

1975年 メキシコシティ生まれ、オアハカ在住
国立美術学校卒
陶芸家、彫刻家


粘土の彫刻を主に制作。ポリエステル、コンクリート、ブロンズなども使用。人のかたちをしていることが多く、テーマは性の衝突。現在布での立体作品を製作中。土の色に深く興味を持ち、オアハカのミステカ地方の土を採取し陶芸作品に活かしている。




タリック バルケ

1960年 メリダ生まれ、オアハカ在住
シカゴアートスクール卒
アーチスト


主にパフォーマンスで活躍。絵は再生紙につち、植物、葉、死んだこおろぎ、昆虫などからとれた自然色で描く。自然と一緒に絵を描くのが好き。美術は地球を汚染するものであってはならないと思う。川、海、空気、土を汚す技法には興味がない。



筒井 みさよ

1974年 横浜生まれ、オアハカ在住
武蔵野美術大学卒、オアハカ州立自治ベニトフアレス大学
芸術学校美術学部在籍
アーチスト

メキシコの文化と美術を勉強中。オアハカで日本画の技法を学ぶ機会に恵まれ、つちの持つ自然な色の美しさに感動。受講した生徒さんとつちや情報を交換し、土を収集している。



オマール ファビアン リベラ

1978年 オアハカ生まれ、オアハカ在住
サンアグスティンアートセンター コーディネーター、図書館館長
文筆家


オアハカ版画美術館館長を3年勤めた後、2007 年サンアグスティンアートセンターのコーディネーターに就任。ラテンアメリカアートを中心にアートに関する豊富な知識を持つ。文筆家としても活躍しオアハカの文学の本や詩集も多数出版。今展のゲストキューレター。


 サンアグスティン・エトラの手漉き紙と土の色に私が興味を持ったことで、この土地にしかない素材と日本画の技法で絵を描けないだろうか、という思いからアートセンターでのワークショップが開かれました。参加したオアハカのアーティストたちと私は、近くの山から土を採取し、黄土、朱土、緑土など様々な色合いの絵の具を作ることが出来ました。世界中の古代の絵画は、土や草木の汁、虫など、身近にある自然の素材で絵を描いていました。土という素材を絵の具に生成し、この土地でしか生まれない絵画を描いてみる。そこから生まれる新しい絵画の可能性を探ることが、私自身への問いかけでもあったのです。土の絵の具をメキシコ膠で溶き、日本画の筆でエトラの手漉き紙に描く。オアハカのアーティストたちは、こうした技法や素材を自然に受け入れて素晴らしい絵を描きました。土の記憶を刻む不思議な動物、奇妙な体と顔の操り人形、どの作品も色調が淡いのにエロティックで魔術的です。何よりも彼らが持つおおらかな、メキシコの大地の力強さがあふれています。
 この展覧会は参加したアーティストの中から、9 名による約60数点を展示します。彼らのプリミティブな絵画世界を、紙と土が表現者にとって原初的な素材であることを、多くの方々に見て頂きたいと願っています。

                                                      内田あぐり
                                    画家、武蔵野美術大学日本画学科教授



「よォーこそ!」は、マキイマサルファインアーツ2009年のシリーズ企画展です。毎回異なるゲストキュレーターの方に作家を紹介していただき、新しい風や再発見の驚きを、ギャラリーと現代美術界に吹き入れていただく事を目的としています。
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